あのアパホテルが「シングル素泊まり」3万円台! 「価格設定」はどうなっているのかの記事にあるとおり、ネットで大きな話題になっていますが、2015年の2月にも同じような現象が起きていました。

ちょうど、ビザ更新の一時帰国で家族分手配したのですが、会社規定範囲の金額の東京のホテルはどこも空いていない。3万円台は空いている。オークラか、帝国ホテルかと思いきや、アパホテルと言われて、椅子からひっくり返ってしまった。

あのおばさん社長に3万円も払いたくないので、日本でブーム到来前のAirbnbで会社規定範囲の金額で宿泊をしたのだが。

需要に合わせた価格設定は悪なのか?

 アメリカのホテルは完全に需要に合わせた価格設定をしている。特に世界中から人が集まる大きな会議がある時など、一斉に値上げをする。仕事でくる場合は、ホテルが高いからやめよう、とはならない。ホテル側としたら、金を取れるときに取ってやろう、という気合いだ。

例えばラスベガス。BlackHat , Defconには世界中から人が集まる。ホテル側にとっては最大の商機だ。
エクスカリバーは通常30ー40ドル/泊程度なのだが、このときは160ドル/泊を支払わされた!

そしてサンディエゴ。ESRIユーザカンファレンスがあった時。通常60ドルで素泊まりできるモーテルが230ドルだ!しかも、超特大のゴキブリのお迎え付きだ! 

アパホテルは、この欧米のやり方を取り入れている。そのお金を払うということは、顧客が納得して払っているということ。市場原理に任せている。というのだろう。

しかし、このやり方が蔓延すると、日本国内の出張者が大変だ。会社の宿泊出張で払えるのは8000円程度だろう。

地方から東京に遊びにいきたい人だっている。しかし、ホテル代が高くなってしまったら、東京に遊びにいこう、というモチベーションが下がってしまう。

さらに2月3月は日本の大学受験シーズンであり、ここ数年、中国旅行者も大量にやってくるシーズンとなった。ホテルがこんなにも高くなってしまうと、受験生を抱える家庭への経済的負担が非常に大きくなる。
 

民泊は異常な価格形成を修正するのか? 

ホテルが不足しているにも関わらず、宿泊希望者が増えるのであれば、価格が上昇しても当然だ。会社側からすれば、一円でも利益を得たい。しかし、このままでは日本国内にいる日本人に不利益が生じる。

欧米と日本の物価を比べたら欧米のほうが圧倒的に高い。1.5倍ぐらいだ。もちろん彼らの給料も上がっているから、物価も上がっている。もはや彼らにとって日本の物価は安いのだ。

中国は成長国家。最近成長率が下がって、景気後退という話もあるが、成長国家にいる国民は少しでも背伸びをしたい人たちだ。

日本人はどうだ?我々の給与はアベノミクスで上がる、とは言われているが、おそらく維持が精一杯じゃないだろうか。そんな中、ホテル代が上昇してしまうと、どこにも行くな、と行っているようなものだ。

この現象を解決するには、ホテルを増やすしか無い。手っ取り早いのは民泊だ。合理的な値段で、安全に泊まれる民泊が普及すれば、ホテル側も素泊まり3万円のような足下を見た商売はしないはずだ。
 
今の民泊は安く旅行したい外国人旅行者向けのようにも見えるが、日本人の国内旅行者、出張者の宿泊インフラとして必要不可欠になるだろう。